2005.11.3. 晴れ
これまでの「バンディング問題」を総括します。少々長いですが、じっくり読んでみて下さい。次のような流れで説明してあります。
[目 次] (目次の項目をクリックすると、該当ページへジャンプできます---最初は通して読んでみて下さい)
1.バンディング問題の定義 2.鳥類標識調査とは i 鳥類標識調査の仕組み ii 鳥類標識調査の手順 iii 鳥類標識調査の問題 3.調査に対する疑問点 i. 成果に対する疑問 ii. 調査方法に対する疑問 iii. 監督省庁に対する疑問 iv. 制度そのものに対する疑問 4.問題点の考察 5.環境省と山階鳥類研究所の実態 6.教育現場の悪質バンダーと教育機関の対応、教育機関の野鳥に対する認識 7.まとめ
野鳥を捕獲して足環をつける標識調査を「バンディング」と呼びます。この「バンディング」に対して、多くの疑問の声が上がっています。いわゆる「バンディング問題」です。
足環を着けられたオオルリ
まず、バンディングの、どんな点に疑問があるのか。それを順に見ていきましょう。捕獲を伴う野鳥の調査には色々あります。この中に、環境省が山階鳥類研究所に依託して行われている鳥類標識調査があります。この山階鳥類研究所が行っている鳥類標識調査の中の「スズメ目(いわゆる小鳥)に対する標識調査」に対して、野鳥にかける負担と成果とのバランスから見て疑問が多い、ということなのです。
スズメ目以外の野鳥----例えばシギやチドリには、金属製足環に加えてフラッグと呼ばれる色つきの旗がつけられるようになりました。フラッグならば再捕獲しなくともスコープなどを使った目視観測で確認可能であり、それにより金属製足環の約20倍の再観察が可能となって、渡りのデータも集まりはじめています(標識装着の負担が増えること、事故による死亡や怪我があることを忘れてはいけませんが)。対して、スズメ目に対する標識調査では、得られた成果はほとんどゼロに等しいと言えるのではないでしょうか。以下、このことを述べていきます。
まず、環境省が山階鳥類研究所に依託している鳥類標識調査の仕組みを復習してみましょう。山階鳥類研究所のホームページには、鳥類標識調査について、次のように出ています。
戦後は1961年から農林省が山階鳥類研究所に委託して再開しました。その後、1972年からは環境庁(現在の環境省)がこの事業を受け持ち、山階鳥類研究所へ委託して調査を継続しておこなっています。
つまり、現行の制度は、1961年から行われていることになります。今年は2005年ですから、45年間にわたって現行の鳥類標識調査が続いているのです。実際に野鳥を捕獲して足環を装着するのはバンダーと呼ばれるボランティアの標識調査員です。バンダーになるには山階鳥類研究所の研修を受けて資格を取得する必要があります。この資格を持っているバンダーは400人ほどだそうです。
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ここで確認しておきます。鳥類標識調査において野鳥の捕獲に使用されるかすみ網は、現在の日本では使用どころか所持するだけで違法なのです。「調査」という目的に限って、バンダーは、かすみ網の所持と使用を認められているのです。ですから、「調査」本来の目的から外れた行為は、即、法令違反となって刑事罰の対象となるのです。(鳥獣保護法違反)
では、実際に、スズメ目の小鳥に対してどのような方法で「調査」が行われているかを見ていきましょう。以下の画像は、2005年7月25日に多摩川河畔で撮影されたビデオから切り出した画像です。もちろん撮影許可をとって撮影したものであることを申し添えます。
●かすみ網を使用するときには、このような赤い旗を表示することになっています。(この赤い旗無しで、かすみ網が使われているときは、違法行為である可能性が高いので、もし目撃したら警察に通報してください。)

●この時の「調査」は、ツバメのねぐらになっている河原の葦原で行われました。ツバメは、葦原などで集団でねぐらをとります。たくさんのツバメが安心してねぐらをとれる大きな葦原は年々少なくなっていて貴重なものです。日が暮れると、あちこちから次々にツバメたちが飛んできます。たくさんのツバメが集まりますから、文字通り一網打尽です。かすみ網にかかったツバメたちは逃げようと暴れます。

●暴れたツバメたちは、宙づりのまま、逃れようともがきます。そして、ますます網に絡まってしまいます。

●逆さまで網に絡まっているツバメたちの様子を見て、あなたは何を感じますか?

●かすみ網から外された野鳥は、一旦、袋の中に入れられます。
●かすみ網から外されたツバメに、足環が取り付けられます。専用のプライヤを使います。ツバメの表情をご覧下さい。

●プライヤで金属製の足環をつぶす瞬間、このツバメは大きな口を開けて暴れました。激しい痛みを感じているように見えるのですが...

●かすみ網にかかるのはツバメばかりではありません。この日は、オオヨシキリもかかりました。オオヨシキリはこんな風に元気に囀る小鳥です。この、観念したような表情との違いを見てください。

足環をつけ終わると、放鳥されます。なお、翌日以降、ねぐらにしていたこの場所に、ツバメたちは現れなくなったそうです。
●オリジナルのビデオ映像(動画)はこちらです。是非ご覧下さい。
「調査」では、多くの場合、放鳥する前に、体重や体の各部分のこと細かな計測が行われ、記録表に記入されます。
また、写真撮影をするバンダーも少なくないように思われます。写真を撮るために危険な持ち方をされて、脚を痛めないでしょうか?さらに長時間拘束されてしまう野鳥たちは、より大きなストレスをかけられて弱ってしまうのではないでしょうか。
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危険な持ち方です。脚が折れてしまう事故になりかねません。(ヨーロッパウソのつがい) cited from http://wanderingbirders.blogspot.com/2005/05/ringing-at-ferry-meadows.html |
以上で、スズメ目の小鳥に対してどのような方法で「調査」が行われているか、おわかりいただけたと思います。
次に、「調査」では、小鳥たちはどんな負担をかけられるのでしょうか。まとめてみます。
●かすみ網にかかった時の負担---網にかかると、逃れようと本能的に暴れます。これによって体力を消耗します。骨折、ショック死などもあるようです。
●かすみ網にかかったままで放置される負担---網にかかってもすぐには外してもらえません。少なくないストレスがかかります。直射日光が当たったり風があったりしたら、体力の消耗も急激に進むでしょう。
●かすみ網から外される時の負担---網から外される時=人間に触られる時です。少なくないストレスがかかります。すぐに外れないときは、さらに大きなストレスがかかります。
●計測される時の負担---翼を広げられたり押さえつけられたりします。大きなストレスがかかるでしょう。
●写真撮影時の負担---上の写真の通りです。たいへん大きなストレスがかかるでしょう。
これだけではありません。「調査」で着けられる金属製の足環の負担があるのです。これは、一生続く負担です。十分軽いので負担は少ないとされていますが、小鳥の体重も大変軽いのです(最も軽いキクイタダキやヒガラは10グラム前後しかないのです)。足環を着けたのちに、足を失って帰ってきた例も報告されています。足環が原因であるという証拠はありませんが、足環が原因でないという証拠もありません。
では、「調査」に対する具体的な疑問点を挙げていきましょう。疑問点は大きく4つあります。
i. 成果に対する疑問
ii. 調査方法に対する疑問
iii. 監督省庁に対する疑問
iv. 制度そのものに対する疑問
まず、最初の疑問点から。
このように、小鳥に対して少なくない負担と犠牲を強いて、どのような成果が上がったというのでしょう?
年ごとのデータは、毎年、山階鳥類研究所から刊行される「鳥類標識調査報告書」にまとめられています。しかし、これは、スズメ目に注目すれば単なるデータの羅列です。
これを成果と呼べるのでしょうか?また、この「鳥類標識調査報告書」の刊行は2001年版を最後に止まっています。その理由は、データ処理が追いつかないことだそうです。こんな調子で成果を期待できるのでしょうか?
また、先に示した記録表は、バンダー自身が保管していて、山階鳥類研究所に集められるわけではないのです。「測定値は入力されていない。誰が測定値を持っているかはわかる。測定値については測定者の所有という考えでいいと思う。」とのこと。
標識調査報告書第8版(1996年)
つまり、野鳥に負担をかけて計測された各種データは、一切集められていないということです。つまり、鳥類標識調査とは、かすみ網で無差別に野鳥を捕獲して足環をつけるだけということになるのでしょうか?何のための記録表なのでしょうか?
他には、この「鳥類標識調査報告書」のデータをまとめた「渡り鳥アトラス」が1996年に刊行されています。いまのところ、この「渡り鳥アトラス」が唯一のまとまった量のデータ集といえるようです。これには、1961年から1995年までの35年間に得られたスズメ目(いわゆる小鳥)に対する標識調査のデータと考察がまとめられています。
この「渡り鳥アトラス」については、図書館で隅々までお読みになったカワセミ日記読者の方の分析を掲載させていただきます。
この「渡り鳥アトラス」を見て、私は初めて標識調査の結果を知りました。実数を挙げての報告書なので大変迫力があります。というよりデータの少なさに驚かされました。35年間かけてこれしか調べられていないの?
実際に、この報告書を見た方の多くは、そうお思いになることでしょう。そしてヨーロッパやアメリカ・カナダは標識後の回収率も高く、研究が進んでいるとも書かれていました。
回収率について考えられていることは、要約の「夏鳥・冬鳥・旅鳥・漂鳥を含む留鳥の回収率の比較」の中から。
『留鳥・漂鳥で回収率が高かった理由として、オオジュリン・アオジ・ハクセキレイ・ベニマシコ等多数放鳥されている種が、国内において繁殖地・中継地・越冬地のいずれの地域でも捕獲される機会があり、放鳥数とともに回収数も多くなっていることが考えられる。夏鳥や冬鳥では放鳥地で多数放鳥しても、夏鳥の越冬地と考えられる東南アジアや冬鳥の繁殖地と考えられるロシア等での調査がほとんど実施されていないため、回収率が低くなっていると考えられる。』---渡り鳥アトラス 要約より引用
「渡り鳥アトラス」というタイトルなので、渡りの地図が描かれているのかと思いましたが、地図として分布を見られるのは数種類だけでした。私も最初は「なんだぁ、東南アジアやロシアで調査しなければ、何の役にも立たないのかぁ〜」と、素直に読んでおりました。しかし、読んでいるうちにある重要なことに気付いたのです。
統計データ
渡り鳥の地図としては利用価値が少ないかもしれないが、標識調査実績の統計データとしては35年の調査を振り返ることができるのです。
渡り鳥アトラスを見た中では、「日本が島国である」こと、夏鳥・冬鳥が「海の上を渡る」ことについての記述が一切ありません。このことを踏まえて、考察を。
渡り鳥(夏鳥・冬鳥)は、島国である本国に来る場合、数百キロの海上を休まずに飛ばなければなりません。スズメ目の渡り鳥の多くは、海鳥のようにいつも長距離を飛んでいるのではなく、渡りの時期以外は、縄張り内の移動が主でしょう。ですから、困難な渡りをしていると想像されます。
ヨーロッパやアメリカ・カナダのような陸続きの場所を渡る場合と違って、日本へは、海上を渡って来るので、途中の休憩場所がありません。夏鳥・冬鳥の回収率の低さからも、大変な困難な渡りをしていることが想像されます。
特に夏鳥の縄張りを持つ種については、標識放鳥後の回収はごくわずかです。
渡り鳥の標識調査を統計データとして分析
では、「渡り鳥アトラス(スズメ目編 1961〜1995年)」の実数を追ってご説明を
※( )内は、回収種数/標識種数。
標識放鳥数 回収数 うち短期回収数 期間中に標識及び回収された総数(62/153種)
1,908,340 5,311 2,454 うち夏鳥(16/31種)
341,188 358 152 うち冬鳥(9/26種)
343,910 335 182 うち留鳥・漂鳥(37/57種)
1,217,609 4,618 2,120 旅鳥( 0/10種)
5,510 0 0 未分類 ( 0/29種)
123 0 0 回収数のうち6ヶ月以内の回収は、短期回収数とする。
全体の回収率 5,311÷1,908,340×100≒0.28%
夏鳥の回収率 358÷341,188×100≒0.10%
冬鳥の回収率 335÷343,910×100≒0.10%
留鳥・漂鳥の回収率 4,618÷1,217,609×100≒0.38%
旅鳥の回収率 0÷5,510×100≒0%
回収率に関して「夏鳥・冬鳥・旅鳥・漂鳥を含む留鳥の回収率の比較」
「夏鳥と冬鳥の間では、放鳥数・回収数ともに数値が近似であり、回収率にも差は認められなかった。しかし、これらと比べて留鳥・漂鳥では、回収率が約4倍高くなっていた。これは表2.9に示したように、北海道では夏鳥だが本州中部以南では冬鳥であるというような種を漂鳥としてあつかったため、オオジュリン・アオジ・ハクセキレイ・ベニマシコ等多数放鳥されている種が、留鳥・漂鳥に含まれていることによると考えられる。これらの種は、繁殖地・中継地・越冬地のいずれの地域でも捕獲される機会があり、放鳥数とともに回収数も多くなっているのであろう。しかし、多数放鳥されている夏鳥のツバメや冬鳥のカシラダカ等では、放鳥地で多数放鳥しても、夏鳥の越冬地と考えられる東南アジアや冬鳥の繁殖地と考えられるロシア等での調査がほとんど実施されていないため、回収率が低くなっていると考えられる。」とされている。 ----渡り鳥アトラスから引用
夏鳥の回収率
さて、「渡り鳥アトラス」の夏鳥のデータをもう一度みてみましょう。その前に、日本に来る夏鳥は、繁殖するという目的をもって来るのを覚えていて頂きたい。
※回収数のうち6ヶ月以内の回収は、短期回収数とする。
標識放鳥数 回収数 うち短期回収数 夏 鳥 341,188 358 152
夏鳥は繁殖の為に日本に来るのだが、この中で繁殖期に「縄張りを持たないもの(以後、縄張りナシ)」と「縄張りを持つもの(縄張りアリ)」に分けて考えてみます。縄張りナシの種として、ツバメ科の4種(ツバメ・イワツバメ・ショウドウツバメ・コシアカツバメ)とツメナガセキレイ・エゾセンニュウ・マキノセンニュウの計7種とし、他の夏鳥は縄張りアリと分けて考えてみます。(繁殖期に縄張りを構え分散しない種…ツメナガセキレイ、不明種…エゾセンニュウ、マキノセンニュウ ←参考文献: 原色 日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>)
( )内は縄張りによる分類の種数
標識放鳥数 回収数 うち短期回収数 縄張りナシ( 4/7種)
188,334 245 98 縄張りアリ(16/31種)
152,854 113 54 縄張りナシの回収率 245÷188,334×100≒0.13%
縄張りアリの回収率 113÷152,854×100≒0.07%
更に、縄張りアリの標識後6ヶ月以上経過したもの (113-54)÷152,854×100≒0.04%
縄張りアリの再捕獲の難しさが分かります。この標識後6ヶ月以上経過したものは、大半が海上数百キロ以上の渡りを経験し、越冬地と往復したことが考えられる。
0.04%という数字は1/2500であり、2500羽標識して初めて1羽のデータが得られるのです。単純に標識調査の事故率10%とすると1データを得るのに約280羽を殺してしまうことになります。
2500÷90×100-2500≒278
(回収率0.04%を簡単に書くと、2780羽捕まえて、280羽事故死、残り2500羽を標識放鳥して回収されるのがやっと1羽。)
縄張りアリの中には、レッドリストになっている種が5種あります。1,000個体より減少すると種の存続が危ぶまれると言われており、この回収率から考えると、データが揃う前に標識調査中の事故で、絶滅させてしまう恐れさえあることがお分かり頂けると思います。
このことから、スズメ目夏鳥(特に縄張りを持つ)の標識調査は、即刻中止すべきではないでしょうか。
渡り鳥アトラスといいながら、この標識調査のデータから渡りの地図を得るのは、無理があると考えられます。
あるいは、調査を始めた頃は、標識調査に耐えられるだけの個体数が認められたかもしれないが、現在の定量調査の結果を見る限り耐えるだけの個体がいるとは考えられません。
いかがでしょうか?要するに、成果らしい成果が見あたらないこと----「アトラス」を謳いながら、実際には渡りに関する「地図」など描けていないのです。
ツバメやハクセキレイなどの回収率が比較的高いのは、集団でねぐらをとるからではないでしょうか?ねぐらで一網打尽にできるからです。集団でねぐらをとらない鳥種の回収率はゼロに近い数字であり、将来的にも回収率をあげることは不可能といえるのではないでしょうか?
足環を着けられたハクセキレイ
確認します。これは35年かかって作成されたものなのです。35年でこういう結果なのですから、次の35年でも同じと言えるのではないでしょうか。いえ、野鳥を取り巻く環境はさらに悪化しているのですから、得られるデータはさらに少なくなると容易に想像できるのではないでしょうか?
【参 考】 ・渡り鳥アトラスのデータ集計(マックの方はこちら:ウインドウズだと一部の文字が落ちて見えます) ・渡り鳥アトラスのデータ集計(ウインドウズの方はこちら:マックだと一部の文字が落ちて見えます)・渡り鳥アトラスの全ページデータはこちらからダウンロードできます。じっくりお読みになって下さい。(pdfです。4.2MBあります。)
また、刊行物ではありませんが、成果(と主張するもの?)をweb上でいくつか見つけることができます。
標識調査データの行政への活用(2001年)のなかで、環境省自然環境局の担当者は、「スズメ目の鳥の寿命は、5年以内とわかった」と、さも重大な知見が得られたかのように述べておられます。このようなことは、多額の税金を投入して調べるようなことでしょうか。
あるバンダーは、調査によって「夏鳥にしろ冬鳥にしろ、回帰性の強いことがわかった」と述べておられます。こういうことも常識的なことで、国家の事業として多額の税金を投入して調べるようなことでしょうか。
あるいは、山階鳥類研究所の福井県織田山鳥類観測一級ステーションの解析データを、みなさんはどのように読まれますか?いろいろな数字をとりあげて、いろいろと解析を試みていますが、調査日も天候も異なり、テープで誘因する方法をとっていますから、どの数字についても不確定要素が多く、解析可能な定性的・定量的データからはほど遠いように感じられます。しかし、環境省自然環境局の担当者は、標識調査データの行政への活用のなかで、「継続的な定点調査によるモニタリングにより、周辺植生の変化との関係」が解ったと述べておられます。私には、無理矢理こじつけているように感じられます。とても科学的な考察とも思えないのです。
先の「渡り鳥アトラス」をお読みになった読者の方も指摘されているように、レッドリストに載っている絶滅危惧種に対しても、無差別な捕獲と足環着け、そして各種計測が行われています。
シマアオジ
希少種に足環を着けても再び捕獲される可能性は極めて低いでしょう。なぜなら、もともとの数が少ないからです。例えばシマアオジ。
現在のところシマアオジは「準絶滅危惧種(NT)」とされているが、これは「現時点では絶滅危険度は小さいが生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性のある種」と定義されており、当面は心配ないかのような記載となっている。しかし、これでは明らかに過去の生息状況を反映したもので現状に合っていない。かつて生息地の保護を行政にお願いに行ったところレッドリストの下位にあるために断られたことがあり、認識のズレを感じた。シマアオジのような急激な減少にはのんびりしたお役所仕事の対応を待っていては間に合わなくなってしまう。行政が動くために権威が必要だと言うなら、何はともあれ「絶滅危惧」という権威がほしい。事態はまさに切迫しているのである。
このように、シマアオジは危機的な状態のようです。手元の鳥類標識調査報告書(1996年版)には、シマアオジのデータが記載されています。1996年の標識放鳥数はわずかに4。そして、再捕獲はゼロです。他の鳥種でも同様です。ブッポウソウも数を減らしていることが指摘されています。1996年の標識放鳥数は5。ブッポウソウは1961年〜96年の36年間でわずかに63です。再捕獲数も同じくゼロ。足環をつけただけでは何のデータも得られないのですから。「調査」は保護の役には立たないのではないでしょうか?
数を減らしているのですから、絶対数が少ないのです。だから捕獲される数も少なく、再捕獲にいたってはゼロなのです。数の多い、保護の緊急性のない鳥種は捕獲されるが、緊急の保護を考える必要のある鳥種は数が少ないゆえにデータが全然集まらないのです。つまり、数を減らして保護を考えるべき段階の鳥種に標識調査をするのは無意味と言えるのではないでしょうか。いえ、無意味どころか、標識調査が絶滅を加速させることも考えられるのです。
唯一公開していただいた、標識調査の際の死亡率のデータです。それによると(2002年07月〜2005年8月)
●放鳥数(足環を着けた数)
847羽
●落鳥数(調査の際の事故死の数)
11羽(私的メモからの合算で正式記録ではない)
●再捕獲数(再び捕獲された足環着きの鳥の数)
17件
死亡率は、1.3%もあります。野鳥の扱いの雑なバンダーでは、もっともっと死亡率が高いであろうことは容易に想像できます。条件によっては死亡率が50%を越えるケースもあるそうです。これはもはや調査ではなく虐殺と言えるのではないでしょうか。
なぜ、このような高い死亡率となってしまうのでしょう?理由の1つに、調査が行われる場所と時期があります。春と秋の渡りの時期に、離島で行われる調査です。目撃証言です。
『離島での鳥の渡り時期のバンディング、私も礼文島で目の当たりにしたことがあります。ことのほか春の小鳥類の渡りが多かったこともあって、私が双眼鏡やスコープで、キマユホオジロだ、シロハラホオジロだ、カラフトムシクイだ、マミジロキビタキだ、ムギマキだ、と、次から次に現れる初めての鳥に大喜びで、ほかのウオッチャーのいない贅沢な鳥見をしていたうちに、かすみ網を見かけて「密猟か」と緊張しましたが、網に調査札がついているのに気付きました。礼文島でバンディングを開始した年だったこともあって、バンダーの人たちは相当な盛り上がりだったようです。「落ちる」(死ぬこと)場合が比較的多いですと当事者がしれっとして話していたのが思い出されます。離島のバンディングには特に大きな危険がつきまとうのは間違いないと思います。自然体験とやらで、客寄せパンダにしている宿やツアー会社のうわさも聞こえてきて、薄ら寒さも覚えます。』
はるか東南アジアから海上を飛び続け、やっとの思いで陸地(島)にたどりついた、休息と食料補給が必要な鳥たちを捕まえて、なぜ、観光客を相手にして識別講座などしなければならないのでしょう。鳥は、長距離を飛んだあとは、エネルギー源としてため込んでいた皮下脂肪を使いきっています。ですから、食料補給はぜったい必要なことなのです。
「大部分の鳥にとって、渡りをなしとげるのに脂肪は欠かせない。ただ飛ぶためばかりでなく、嵐を乗り切ったり、条件のよくない場所に途中滞在したりする場合にも、エネルギー源としているからである。--中略--この貯蔵脂肪は体温維持のほか、やむを得ずある場所に数日の滞在をしなければならない場合に餓死をのがれるためにも使われる。」
「採食や休息の時間を奪うことは、無制限に殺すのと大差はない。食べて脂肪を蓄積できなければ、渡りをなしとげられないので、繁殖もできない。」
---ニュージャージー・オージュボン・ソサエティ ケープメイ鳥類観測所 ポール・ケリンガー博士
『鳥の渡りを調べてみたら』文一総合出版刊
離島での調査は、即、鳥を殺すことにつながるのではないですか?faura誌のシマアオジ特集に、シマアオジの渡りのルートについての記述があります。「シマアオジは、本州をとおらずに、西にむかう」とのこと。北海道の西には、礼文、焼尻、天売などの島々があります。ここでの「調査」時に、シマアオジはかすみ網にかかることはないのでしょうか?いま現在、20羽前後しかいないシマアオジです。たとえ、1羽といえども、かすみ網によって事故死させてしまえば、取り返しのつかないほどのダメージを与えることは、だれの目にもあきらかでしょう。「鳥の保護のためになる」と、45年間続けてきた標識調査が、シマアオジの生息数さえも把握することができず、しかも、かろうじて生き残っているわずかな数のシマアオジに対して、「調査」そのものが、もっとも直接的な危険として、行く手を遮っているといえるのではないでしょうか?
私たちは、9月16日に環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室の担当官と面談しました。面談の目的は「調査からの逸脱と思われる行為を繰り返しているバンダーの資料を提示して、監督省庁である環境省としての見解を得ること」です。
提示した資料に対して、明らかに逸脱しているという認識を示していただき、
・環境省としては、この様なことが起こらないように山階鳥類研究所を指導していく。
・(異例のことであるが)10月初旬に山階鳥類研究所を通して、全バンダーに対して「通達」を出す。
・標識調査時に、例えば、鳥を一般人に持ってもらうことは鳥に与えるストレスの点で好ましくない。そのようなことを見かけたときは個別に報告して欲しい。しかるべき処置をとる。
・標識調査を教育に取り入れる事に関しても、環境省としてのガイドラインをもうけ、鳥に与えるストレスを最小限にする必要があると認識している。
とのコメントをいただきました。
ところが、再三の要望にもかかわらず、通達の内容を公表していただけません。「通達の内容は個人情報を含むので公表できない」とのことです。それどころか、「通達が出されたか否か」さえ公表されません。税金を投入して行われている国家の事業なのですから、個人情報を含む部分を伏せて、部分開示するのが当然なのではないでしょうか?
また、環境省の担当官と面談した後、逸脱行為を掲載していた新聞社に抗議の電話をした時のことです。なぜだか分かりませんが、電話に出た新聞社の人間は、環境省の担当官と面談した我々の代表の名前を知っていたのです。
これは重大なことではないでしょうか?一体誰が伝えたのでしょう?名前を知っているのは、面談した担当官と我々だけのはずです。確認します。我々の代表は逸脱行為---すなわち違法行為を通報した、いわば犯罪の目撃者なのです。もし、その名前を被疑者側に伝えていたとすれば、これは、個人情報保護以上の重大な問題といえるのではないでしょうか?環境省の担当官と面談した後から、突然、脅迫じみたメールが、我々の代表に届くようになったことを付け加えます。(面談時に渡した名刺には、メールアドレスが載っています)
このようなことがあり、我々は、鳥類標識調査の監督省庁である環境省に対して、大きな疑念を持つようになりました。その疑念とは、「環境省−山階鳥類研究所−バンダー」が、なあなあの関係ではないか、という疑念、つまり「身内に甘い指導をしたのではないか?」ということです。9月16日に提示した人物は、過去にも問題行為があったと新聞社から聞いております。つまり初めてではないのです。
ところが、バンダーの資格停止や活動停止どころか、そのバンダーは、9月16日以降も今までと変わらず教育現場で活動しているようです。一体どのような「指導」をしたというのでしょう?
逸脱行為はもうしていない、と環境省は言うかも知れません。しかし、逸脱行為をしていないことを誰が検証しているのでしょう?結果的に、野放しのままとなっているのではないか、という疑念は拭えないのです。「指導」の内容も、「通達」の内容も、公表しないのですから。
この疑念から、鳥類標識調査の制度そのものに対する疑問が生まれます。確認します。鳥類標識調査に関して、環境省は山階鳥類研究所を監督する責任があります。そして、山階鳥類研究所はバンダーを監督する責任があります。では本当に、監督責任は果たされているのでしょうか?
バンダーの世界には、いまだ徒弟制度が残っています。山階鳥類研究所の研究員が1級バンダーで、その下に2級バンダー,3級バンダー,さらに見習いバンダー,と続きます。現場を見学して手伝う人も少なくないようです(バンディングがイベント化していますから)。この制度では、上の等級のバンダーには絶対服従です。バンダーの推薦がなければ資格を取ることができないからです。ですから、悪質なベテランバンダーについたバンダーは悪質な行為を悪質でないと教え込まれるのです。これが見習いバンダーにまで及び、悪質バンダーが拡大再生産されていくのです。
そもそも、わずか数人の山階鳥類研究所標識調査室の人間が、400人のバンダーを教育し、行動を監督し、データを集計するという制度そのものに無理があるのではないでしょうか?逸脱行為を監督し指導することなど不可能なのではないでしょうか?信頼のおける方法でデータがとられているということさえ、検証できていないのではないでしょうか?
逸脱行為をするバンダーは一部でしょう(注1)。しかし、一部であっても、これはあってはならないことです。悪質バンダーを生み出してしまう、現在の鳥類標識調査(バンディング)の制度の本質的な問題なのではないでしょうか?これでは、悪質バンダーを見つけるたびに指摘しても、次々に新しい悪質バンダーが生まれてくるのではないでしょうか?拡大再生産されているのですから。
「調査」を逸脱した時点で、鳥獣保護法違反という法令違反をしているのです。法令違反を取り締まるべき環境省が、悪質バンダーを野放しにする状況を容認しているのではないですか?環境省も、山階鳥類研究所も、バンダーの数が減ると困るので、法令違反を犯したバンダーに対しても甘い「指導」しかできないのではないですか?なぜ「処分」しないのでしょう?第三者機関によるチェックが必要なのではないでしょうか?
注1)本当に一部なのかという疑問は少なからずあります。「鳥類標識調査マニュアル」を読むと、
・雨や強風時には調査を中止せよ。
・網の見回り間隔は、無風・曇天では1時間おき。風・日射・極寒などの天候下では頻繁に見回れ。
・できるかぎり短い時間で放鳥すること。
・写真撮影する場合は特に注意し、鳥を弱らせないこと。
・カスミ網の管理に極力注意し、網が密猟者やその他無資格者の手に渡らぬよう網場の管理を厳重にし、盗難予防に努めること。
・ふしょ部を持って鳥を扱ったり、ぶらさげたりしてはならない。こういう扱いをすると、鳥が暴れて脚の骨を折ったり、脱臼する危険がある。
・多くの項目を測定する標識調査者がいるが、それは鳥を弱らせる最大の原因になりやすい。翼長、尾長、体重の三項目で十分である。
・標識調査において基本的に大切なことは、捕獲した鳥の種名を正しく同定して、できれば幼成を判定して、正常な状態で放鳥して再捕獲を期することである。
などが書かれています。
いつものようにバンディング調査に向かったところ、張っている2枚の霞網のうち、1枚は盗まれもう1枚は使用不能なほど破損していることに気がついた。至急警察に通報、駆けつけた刑事の現場検証の最中、破損網の僅かに残った棚にひっかったという嘘のような本当の話。喜んでいいやら、悲しんでいいやら・・・・・。
・実際には、この画面のようにかすみ網を盗まれたり、連れ回して写真を撮影したりしています(かすみ網を張った場所とは思えない背景です)。
・また、雨天でも調査を「決行」しています。「参加者全員が網場に入ってはずしにかかる」ことをしています(バンダー資格を持たない人間が鳥に触れる時点で法令違反ではないですか?さらに網から外すなんて大問題では?)。
・夜の間にかすみ網を張って放置しています。弱り切っているのに写真撮影を繰り返しています。
・あるいは、このように、コノハズクとアオバズクでふざけています。
インターネット上を少し探しただけで、このような問題行為がたくさん見つかります。おそらくこれは氷山の一角であり、実際にはもっと多く、もっとひどい行為がいたるところで行われているのではないでしょうか。
マニュアルをきちんと読んで「調査」に従事しているバンダーはどれほどいるのでしょうか。細かいことを言っているのではありません。科学的な学術調査なのです。マニュアル通りに「調査」を行わないことは、そのままデータの信頼性を落とすということなのです。また、鳥を殺してしまうことになるのです。それを防ぐために分厚いマニュアルが作られているのです。
スズメ目に対する標識調査は、野鳥にかける負担と成果とのバランスから見てはなはだ疑問が多いことをお分かりいただけたと思います。では、本質的な問題点とは何でしょうか?
まず、成果に対する説明がなされないこと。回収率が何%だとか、何羽に足環をつけたとか、そういうことではありません。問題の本質は、数値だけの応酬によっては明らかにならない場合が多いのです。
●野鳥保護や環境保護に生かされたことは一度もない。
●集めたデータが学術論文になったことも一度もない。
成果に対して疑問を持つ理由はこれで十分だと思います。そして、この疑問に対して、山階鳥類研究所は説明責任があると考えます。
我々は、10月11日に、次のような質問書を持って山階鳥類研究所の標識調査室長と面談しました。その時点で、「標識調査で忙しいので時間が欲しい。公開を前提とした回答を10月中に出す」とのことでした。長年取り組んでおられる研究テーマについて、なぜその場で回答できないのか不思議に思いましたが、回答期限(10月31日)まで待ちました。が、回答がありませんので、ここに質問書を公開し、公開質問状に変えさせていただきます。
なぜ答えられないのでしょう?
我々のデータ以上に落鳥率が高いので公開がためらわれるのでしょうか?
バンダーの教育など行わないで、悪質バンダーを野放しにしているから答えようがないのでしょうか?
2001年からのデータさえ集計されていない、この制度、問題点を洗い出して改正できるまで、一旦中断すべきなのではないでしょうか?
バンダーでない鳥類研究者は、こういうことを言っておられます。現在の制度の現実を突いていると言えるでしょう。
http://www2.gol.com/users/kojiono/0405-08.htm
僕は、「足環をつける行為」よりも、計測したりといった、「鳥自体から何か知る行為」を重視している。この言い方は誤解を招くかもしれないけど、足環をつけることでわかることは確かにいろいろある。でも、いまの日本のバンディングは、ただつけることだけを目標に、「なにがわかったか」ではなく「何羽つけたか」を競っている感がある。ちなみに、僕自身はバンダーではないので、足環をつけてはいけないことになっている。日本では、国の委託を受ける形である機関が足環をつける仕事を独占していて、そのライセンスがなければ、たとえ大学で研究する立場にあってもつけられない。おまけに、ライセンスをとるためには、年にわずかしかない泊まり込みの講習を受けなければならず、年によっては募集が行われないこともある。好き勝手につけては困る、という主旨はわかるが、なぜ鳥を研究し、かつ指導する立場にある人間がいる大学で(僕の大学には○○○○というアホウドリ研究者がいる。彼はバンダーである)、バンディングが認められないのか。アメリカでは、もちろんそんなことはなく、また、バンディング行為そのものを野外教育の一環として公開していた。この日は、5羽の捕獲。捕獲されることは、鳥にとっては大きな負担に違いない。負担を強いるからこそ、個々のデータを重視したい。
では、実際に、環境省と山階鳥類研究所は、どんなことを考えているのでしょう?
ここに、鳥類標識検討会の議事録があります。2002年3月25日のものです(これが最新です)。鳥類標識検討会とは、「鳥類標識調査の現状における問題点や将来の問題を討議する会議体」です。出席者の所属に注目してください。
この議事録の2ページ目です。「学校教育への参加」とあります。(赤で囲みました)
成果が得られず、学術調査としての社会的合意すら怪しくなってきたので、学術調査と違うところに標識調査の存在意義を求めているのではないでしょうか?まるで、水資源確保の目的で建設の始まったダムが、途中で治水対策だとかに目的がすり替わってしまう公共工事のようです。
そもそも、学術調査として存在するのですから、教育現場に入り込もうとしているのは本末転倒でしょう。バンダーさえ管理できないのに、教育現場まで管理できるのでしょうか?関係する行政機関はバラバラで、連携もまるでないのです。環境省は自分で、調査とイベントは別だと言っているのです。大いなる矛盾です。
鳥類標識検討会議事録の3ページ目です。
足環を着けるという標識調査から外れて、10万羽からサンプルを採取しようとしています。かすみ網にかかって暴れて弱り、各種計測のためにいじり回されて弱り、写真撮影のために無理な姿勢を強要されて弱っている小鳥たちに対して、さらに、羽を抜いてサンプルを採取しようとしています。ますます弱らせてしまうのではないですか?そもそも、足環をつけた・再捕獲したというだけのデータすら、2001年以降、データ処理が追いつかないで放置されているのです。せっかく採取したサンプルもまた、無駄に眠らせてしまうことになりかねないのではないでしょうか。
また、鳥インフルエンザウイルスのことも書いてありますが、この新聞記事にもあるように、結局、環境省の足環による鳥類標識調査では渡り鳥のルート解明は出来ず、厚生労働省が発信器をつける「近代的な調査」を行うことになった、ということではないしょうか。いざという時に何の役にも立たない「調査」に、多額の税金を投入し続けることに(年間4500万円です。これに45年をかけてみて下さい)、強い憤りを感じます。
さらに鳥インフルエンザについて。バンダーは、野鳥を直接触るのです。バンダーが鳥インフルエンザに感染して、人から人へうつす危険性はないのでしょうか?多くの種類の野鳥に無差別に触るのです。鳥インフルエンザに感染する可能性が最も高い人間がバンダーだといえるのではないですか?もしバンダーが鳥インフルエンザに感染したら、大変なことになるのではないですか?
また、「予算がもっと付くようにする」「宣伝も」「予算に関するものは」「インプットする」---これらは、学術調査の現状における問題点や将来の問題を討議する場に出てくる言葉といえるでしょうか。成果があがらないから予算が増えないのではないですか。
この3ページ目には、まだ注目点があります。「バンダー数はまだ少なすぎるので」とあります。いまいるバンダーすら監督できないで悪質バンダーを野放しにしているというのに、この上、もっと増やそうというのです。
そもそも、「調査」の目的とは何なのでしょう?「調査の意義」を説明できないのはなぜでしょう?私には、調査を続けることが目的になってしまっているように感じられるのです。
そして、「バンディング問題」を改善すべき環境省は、現行の標識調査の問題点を認識していないにもかかわらず、現状のまま標識調査を教育現場に取り入れようとしており、それが現実化した場合、野鳥の未来だけでなく、こども達が受ける教育にも悪影響があることを想像するのは私だけでしょうか?環境省は、現行制度を無理に正当化しようとしているのではないか・・・と疑いたくなります。
6.教育現場の悪質バンダーと教育機関の対応、教育機関の野鳥に対する認識
さて、ここで、標識調査が問題や矛盾を抱えたまま教育現場に入り込むとどんなことが起こるかという例を示してみます。
9月24日に京都府の教育委員会などに出した質問状です。京都での一連の逸脱行為に対して、教育機関としての見解をいただくのが目的です。
画像の中のURL(http://で始まるところ)をクリックすると、当該ページに飛べます。
この質問状に対して、10月13日付けで回答をいただきました。京都府教育委員会教育長名の「公文書」として、です。質問状投函から約3週間かかったわけですが、「不適切な部分があった」と公式に認め、関係各所と連携して改善する、と書かれています。
10月20日、この回答について、京都府の学校教育課指導第1係に電話して質問しました。この回答書を公開してよいかという質問です。公文書であり、京都府情報公開条例を読んでも、特に問題があるとは思えませんので当然OKをいただけるものと思って電話したのです。ところが、公開は困るとのこと。公開すると地元父兄の教育委員会への不信感が高まるかもしれない、ということのようです。その場は納得して電話を切ったのですが、その日の夜、件の新聞社のwebサイトを見て唖然としました。さらに翌日に、もうひとつ記事が出ているのに気付きました。
しかも、あろうことか、記事に載っている2つの小学校のうちの1つは、校長宛に直接質問状を送付した小学校なのです。
10月20日の電話で、京都府の学校教育課指導第1係は、「命令系統として、京都府教育委員会は大まかなガイドラインを示して、具体的な対策について各市町村の委員会で決める。京都の鳥獣保護の係との話し合い等も含め前向きな方向で検討をさせて頂く。11月末くらいにはガイドラインが決まるだろう」と答えて下さったのです。ところが、現場には何も伝わっていないようです。ガイドラインが決まるまでは、一旦すべての環境教育の行事をストップするのが当然なのではないでしょうか。ところが、そのままなのです。一体何を信用したらよいのでしょうか。
10月28日付けで、記事に載っている小学校長から質問状に対する返事が届きました。
これがイベントではないのでしょうか。イベントでないにしても、バンダー資格のない校長が、カワセミを手に持って放鳥するという行為は、れっきとした法令違反ではないですか?質問状中の、ご自分の小学校の部分しか読んでいないのでしょうか。問題意識がないのでしょうか。驚くよりほかありません。
また、教育委員会やこの小学校長は、「逸脱行為はもうしていない」と言うかも知れません。しかし、逸脱行為をしていないことを誰が検証しているのでしょう?それを検証する仕組みを作るためのガイドライン策定でしょう?
これは、質問状を送った別の小学校長からの返答です。「野鳥等の取り扱いへの認識不足」を認めておられます。
教育現場は、野鳥のことを知らないのです。これは当然のことでしょう。知らないのだから、バンダーがすることをそのまま受け入れるしかないのです。それが法令違反であっても、です。教育現場の誰が、どうやって、逸脱行為でないことを、法令違反でないことを、確認するのですか?
さらに別の小学校長からの返事です。
このように、環境省から認められた標識調査員の指導を疑うことはできないのです。
付け加えます。京都府に対して、環境省は何もしないそうです。京都の複数の小学校で、長年に渡って逸脱行為すなわち法令違反が繰り返されてきたのです。子ども達が法令違反をさせられてきたのです。この監督責任は、環境省にあるはずです。ですから、このような過ちが繰り返されぬよう、ガイドライン策定に関して指導なりアドバイスなりをするのが環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室の職務なのではないでしょうか。それどころか、環境省は問題人物を野放しのままにしているのではないか、という疑念はますます深まるのです。「指導」の内容も、「通達」の内容も、公表しないのですから。
環境省が山階鳥類研究所に依託して行われている鳥類標識調査のうち、スズメ目(小鳥)に対する標識調査は、納得いく成果がないことをお分かりいただけたと思います。それどころか、多くの問題や矛盾を抱えています。もう一度まとめます。
●スズメ目のいわゆる小鳥に関して、野鳥保護の観点からも、学術研究の観点からも、鳥類標識調査の成果はほとんど無いといってもいいのではないか。
●将来的にも成果を望めないのではないか。
●無策に年間4,500万円もの税金を投入し続ける意味はあるのだろうか。
●鳥類標識調査が、レッドリストの鳥種の絶滅を加速させてしまうことが考えられるのではないか。
●野鳥に直接触るバンダーが、鳥インフルエンザに感染して、人から人への感染を拡大してしまう恐れはないのか。
●鳥類標識調査を統括・監督する環境省と山階鳥類研究所は、悪質バンダーなど現状の問題を放置したまま改善しようとしていないのではないか。
●環境省と山階鳥類研究所が統括・監督する現行の鳥類標識調査の制度自体が破綻しつつあるのではないか。
そして、問題や矛盾を抱えたまま、現行制度を正当化するために、小学校という教育現場に入り込もうとしているのではないでしょうか。
実際に、京都府の複数の小学校で、長年にわたって、教師によるこのような逸脱行為が繰り返されていたのです。バンダーの資格を持たない教師が、カワセミの嘴をつまんでぶら下げ、児童たちと記念撮影していたのです。これのどこが教育なのでしょう?
教育現場では、法律の原則(鳥獣保護法 第8条)に従った教育をすべきではないでしょうか?大正時代以降、鳥獣は捕獲禁止になっているのです。それに従って、捕獲された生きた野鳥を触らせるようなことは教育現場では行なわれてこなかったのです。それを今になって、環境教育と称して、行う必要があるのでしょうか?
小学生のお子さんをお持ちのお父さん、お母さん、
あなたのお子さんが、知らずに野鳥を虐待しているとしたら、どうしますか?
あなたのお子さんの手の中で小さな命が無意味に消えていくことを許すのですか?
足環をはめられた小鳥が、お子さんの手の中で冷たくなっていく。これが環境教育なのでしょうか?
小鳥たちへの虐待ともなりかねない「調査」を小学校に入り込ませてはいけません。今、止めなければ、取り返しのつかないことになるのです。断じて、既成事実化させてはならないのです。
(注意)このアオジの死因は足環であるとは断定できません。 足環をつけられたアオジの遺体が見つかったということで、それ以上でもそれ以下でもありません。
問題と矛盾だらけの現行の鳥類標識調査は、一旦ストップすべきではないでしょうか。
そのためには、世論の後押しが必要なのです。すでに、複数の大手マスコミが取材を開始しています。これらが番組や記事になるかは、世論の後押し次第なのです。
●一人でも多くの人に、このページを印刷して見せてください。
●一人でも多くの人に、黄色いマークの意味を知らせて下さい。「これは、野鳥に対する虐待ともいえる一部のバンディング(標識調査)に対して、疑問を表明するものだよ」と。
●ホームページやブログをお持ちの皆さんにお願いです。このページをリンクして紹介して下さい。
●プリンターをお持ちの方にお願いです。説明カードを印刷して配って下さい。ここに出ています。
●プリンターをお持ちの方にお願いです。黄色いマークのステッカーを印刷して配って下さい。こちらのデータで作れます。
●プリンターをお持ちでない方は、こちらでステッカーをご注文いただけます。ここに出ています。
●お子さんにも話して聞かせてあげて下さい。(現在、お子さんにも分かりやすい、ソフトな内容の絵本を作成中です)
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このページをご覧になった率直な感想を、掲示板に書き込んで下さい。よろしくお願いいたします。
疑問のある方は、直接聞いてみましょう。「説明責任」があるはずです。封書の場合は、返信用封筒に宛先を書いて切手も貼って同封しておきましょう。電話の場合は、前もって疑問点をまとめておき、簡潔な質問を用意しておいて、それに答えていただく形がよいでしょう。一方的にクレームを言っても意味はありません。ファックスやメールでも同様です。疑問を晴らすのが目的なのです。
環境省
〒100-8975東京都千代田区霞が関1−2−2
環境省自然環境局野生生物課
Tel: 03-5521-8344 Fax: 03-3504-2175
電子メール: shizen_yasei@env.go.jp
財団法人 山階鳥類研究所
〒270-1145 千葉県我孫子市高野山115
標識研究室 直通
Tel: 04-7182-1107 Fax: 04-7182-4342
電子メール: bird@yamashina.or.jp
最後に、逸脱行為をしたバンダー氏へ伝えたいことがあります。我々は、罪を憎みますが人を憎むわけではありません。環境省や山階鳥類研究所や新聞社に踊らされてしまった、あなたも被害者ではないですか?
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